横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

末の上に座す道林和尚。

中国・唐の時代の禅僧に道林という人がいた。

この人は、杭州のの秦望山で修業をしていたが、老松の上に巣を造り、その巣の中で座禅していた。
だから、人々は彼に、鳥? 和尚(ちょうかおしょう)と字を付けたという。
この時期、詩人の白楽天が刺史(知事)として、ここにやって来た。

白楽天はこの和尚の話を耳にして、 秦望山を訪ねた。
老松の上の和尚を見るなり、白楽天はこう叫んだ。
「禅師の住む所、はなはだ危険なり」
この言葉に道林はすかさずこう返した。
「太守、そなたの方が危険なり」、と。
なぜなら、松の上は仏教の世界だ。
地上は政治の世界。
政治の世界は、左遷、失脚、馘首、詰め腹、黒い霧、スキャンダル等、様々な危険が渦巻いているのだ。

そこで、白楽天は、こう質問した。
「いかなるか、是れ、仏法の大意?」

仏教の教えとはいったい何なのか?と聞いたのだ。

これには道林は、こう返した。
「諸悪莫作、衆善奉行」
分かり易く言えば、「悪いことはするな、善いことをしろ」と言ったのだ。

白楽天は、
「そんなこと三歳の童子でも知っていますよ」、と答えたら、
道林は、
「しかし、実行することは、80の翁だって難しいぞ」、と言った。

白楽天の完敗である。