先日の7月1日、午前、私の兄が死んだと、電話が来た。
私は来る時がきたと思った。特に悲しい思いはなかった。
昨年の1月に四男である兄がなくなり、その葬儀の場で会った長男は88歳で亡くなったのだ。
私には四人の兄と三人の姉がいる。田舎でも大家族に生まれた。
戦後まもなく生まれた私は、ドサクサのうちに育った。
貧乏を絵に描いたような家族である。
当然、長男である兄は、父を支えるべく、親代わりに弟妹の面倒を見てきた。
私は聞いていないが、30年以上前に父と母が亡くなった折、歳の近い妹に、
「弟妹達が全部チャンと一人前になるまで、俺は死ぬるわけにはいかんわいや」と言ったそうな。
私はこの葬儀の場でその話を聞いた時、兄貴は私にとって観音様だと思い、そっと、合掌した。
心安らかにお眠りください。