山の声 昌三の結婚

2014年01月14日

昌三は貿易科を出て、東京の文祥堂株式会社の外商部に勤めていた。

高校の時から、親元を離れ、東京で暮らしている彼は、親も年老いたので、一人息子の自分は、福岡でこれからの人生を築こうと思ったらしい。彼の夢は、不動産会社設立だった。

帰ってみると、彼の予想に反し、もう昔の財産は、我が家には無くなっていた。

彼は、大名町に不動産事務所を、自分で持ち、営業するようになった。将来は不動産鑑定士の資格をと、志していたらしい。

昭和三十七年に、由紀枝さんと結婚した。

私も当時大名町に、店を持っていたので、ゆっくり息子と話す時間もなかった。

ある日、彼は彼女を紹介して、結婚することを打ち明けた。紹介された由紀枝さんは、岩田屋デパートに勤めている人で、財産もある所の一人娘さんだった。明るい性格に私も好感を持ち、すぐに賛成した。

やがて、結婚式も盛大に挙げ、二人はアパートを借りて、近くに住むようになった。気立ての優しい若い夫婦を得て、私達も大変心強く思い喜んだ。