こだわりを持つな

みんな燃えてしもうた

我々凡人は、なかなかこだわりを捨てきれない。

未練を持つのは当たり前。

しかし、仏教では、こだわりなく、ありのままを見ろと教えている。

そこで、仏教学者である安田理深の話をしてみよう。

この学者は、浄土真宗大谷派の学者だが、無位無官であまり、世間では知られていない。

昭和48年、この安田さんの家が火災にあったのだ。

隣家からのもらい火で全焼した。

おびただしい蔵書はもとより、研究論文やノートがすべて灰燼に帰したのだ。

当然のごとく、安田さんは隣を怨んだ。

隣からの類焼だから、隣の人間に自分の大事なものを、

---焼かれた---

と考えて隣の人を怨みに思った。

しかし、彼は仏教学者である。

仏教鵜を研究しているものがこんなことではいけないと考え、

彼は自分の家を自分で

---焼いた---

と思おうとした。

しかし、これは事実ではない。

最後に行きついた心境が、

---自分の家は焼けた---

と結論付けた。

これこそ、事実であり、こだわりのない心境であると考えたのだ。

自分にも、他人にも、こだわりを持たない心境なのだ。

しかし、凡人はこの心境に至ることはできない。

でも、心静かに、目をつぶり、ありのままに思うことが大事であることを学ぼう。