水が漏れてる

朝の5時前、大学生の息子が私を呼ぶ。

「お父さん、シャワーの水が漏れてて、
止まらないよ。」
と聞こえてきた。
「どうしたんだ」、と目をこすりながら
行ってみると、確かに漏れている。
私は、まず、水の元栓を止めて、
シャワーとカランの
切り替え部をはずしてみた。
外形上は何にも問題はない。
ためしに、少し輪ゴムで詰めて試してみた。
すると、少し止まったようなので、
更に輪ゴムを足した。しかし、
結果的には何の変化もない。

この間、何度も部屋の外にある元栓を締めたり、開いたりした。
これで約40分。
これではだめだと思い、水と温水の蛇口のパッキンを調べることにした。
しかし、この作業が手間取った。簡単に開けられないのだ。

それでも漸く、温水のパッキンを見ることができた。
そこには思っていたようなパッキンがなく、小さなゴムでできた輪っかがあるだけ。
私は不思議に思い、もう一つの水の蛇口をあけてパッキンを見た。
そこで驚いた。
そこにはちゃんとしたパッキンがあったのだ。

この28年間、私の風呂の蛇口にはいい加減なパッキンでごまかされていたのだ。
当時の風呂設置業者の男は、不良の蛇口を知って設置したのであろう。
私は、あきれてものが言えなかった。
エンジニアの良心がそこにあったなら、時間をかけてでも、ちゃんとした蛇口を入れていただろうにと思った。

しかし、この問題点が明らかになったので、私は輪ゴムで応急処置をした。
完璧である。
約1時間半の奮闘であった。
しかし、私は、非常に満足だった。
家内いわく、「今まではお父さんの蛇口の閉め方が悪いのかと思っていたわ」
これで一つ誤解が解けた。
私は、後2時間寝ることにした。
8時半に目が覚め、家内に聞いた。
「どう、シャワーの方は?」

家内いわく、「すごいね、お父さんは。ぜんぜん漏れないわ。」

私は大満足であった。
ちょっとしたことで、こんなうれしい思いは久々だったとほくそ笑んだ。