社会科のノート

昨日の朝、郷(8才)はいつものように学校に持って行く教科書とノ-トをそろえていた。

ところが、どうしても社会科のノ-トが見つからない。
そこで、郷は沙耶香(2才)に、

「サヤカ、ノ-トをどこかに持って行っただろう?」
すると、お母さんは郷に、
「あんたはいつもそうでしょう。人のせいにしないでよ。
自分が整理しないからでしょう。お母さんは、郷の机の上に置いたわよ。
自分で探しなさい。本当にしょうがないんだから。いつも、やりっ放しなんだから。」
フッと布団を見ると、沙耶香がシ-ツにくるまって遊んでいる。
時々顔を出してはこちらを見ている。

そうこうしているうちに、郷が自分の部屋から、

「あった。あった。社会科のノ-トが見つかった。」

と、郷の声が聞こえてきた。

すると、お母さんの声で、
「ホラ見なさい。沙耶香に謝りなさい」、と。
今まで、シ-ツにくるまっていた沙耶香がいつの間にか起き出して、私の側を堂々とした格好で歩いて行く。

「サ-タンは取ってなかったもんね」

と言いながら。

そして、郷の部屋に行き、

「サ-タン、取ってなかったじゃない」

と主張している。

言われた郷はしきりに、

「ゴメン、ゴメン」

と謝っている。

私は、台所から顔を出してその光景を見ていたお母さんと顔を見合わせた。

沙耶香は自分なりにどうしたものか、と2才の頭で考えていたのだろう。

でも、自分ははたして、やったのか、やらなかったのか、それすら、記憶にない。

この際は、黙ってやり過ごそう、と考えた。

ところが、状況ががらりと変わってきた。

自分の無実が明らかになったところから、そのことを主張し始める。

沙耶香の完全なる勝利である。

2才のこの微妙な心の動きとその行動に小さな感動と驚きを覚えたのです。