それぞれの春

みんな一生懸命に生きている。

しかし、人生はままならぬことが多い。
歳をとって退職。
同時に、体調を崩し、病院通い。
ここから、人生が変わり始める。
ガンの宣告を受け、落ち込む人・・・
女房から愛想をつかれ、離婚同然・・・
息子の嫁といさかいが始まり、もう口も利かない・・・

人それぞれに悩みを抱える。
老後とはかくしたものかと、納得し、あとは一人で生きる道を模索する、なんて強がり言ったって、
一人なんかで生きられない。
人からのアドバイスを受け、時には、差し入れも受け、ありがたいと手を合わせる。
その代わり、元気になったらお返しをする。

などと、言ってはみるが、実際はそうはいかない。
躓き始めた人の心はズタズタ。
人としてやってはいけないことを、せざるを得なくなる。
なぜ、あの人があんなことを・・・。
それが躓き始めた人なんだ。

人の人生はわからない。
こんなはずではなかったのに。
こんなに頑張ってきたのに。
あんなにいい人なのに。

人の心は解らない。
自分の心がもうわからなくなってきているのに。
ああ、そういえば、私の親父は糖尿病で、目が見えないところまでいき、最後は人の人格まで無くしたんだっけ。
あの、親父が・・・。
お袋さんは、藪医者の誤診で、天国に召されたんだ。
私はその親父と、お袋に手を合わせたくなった。
親父とお袋の墓参りもできず、遠いところから手を合わすだけ。
私の非礼を許してくださいと。
つまずいたばかりに、人のお祝いさえできないとは・・・。

外は、まもなく桜が咲こうとしているのに・・・。