貯蓄は悪である

houi人は財を所有することによって、ますます欲望が増大する。

このことはジュエリー(宝石貴金属)の購買意欲に関する調査によっても立証されている。すでに数多くのジュエリーを所有している者の方が所有していない者より購買意欲が高いという結果が出ている。

仏教の開祖の釈迦は、財の所有を強く戒めている。ただし、在家信者に対する戒めはそれほど厳しくない。しかし、出家者に対しては、釈迦は財の所有を強く戒められた。初期の仏教教団においては、出家者が所有することを許されたのは、基本的には、

---三衣一鉢(さんねいつぱつ)と尼師壇(にしだん)と漉水嚢(ろくすいのう)---

であった。すなわち、大衣(だいえ)と上衣(じょうえ)と下衣(げえ)の三種の衣と、托鉢の際に布施された食物を受ける一個の鉢と座具である尼師壇と飲水をこすための袋の漉水嚢である。これを「六物(ろくもつ)」と言う。また、出家者の所有物がこのように限られていたところから、弟子が師の教えを受け継ぐことを、

「衣鉢を継ぐ」と表現するようになった。

後に、大乗仏教になると、出家者が所有することを許された生活資具は、「六物」から「十八物」へと増大した。それでもそれは僅かである。出家者は基本的には生活資具を蓄えることは許されていなかったのである。

出家者の毎日の食事は托鉢によってなされた。托鉢とは乞食(こつじき)とも言った。その托鉢は午前中に行い、午前中に食べなければならなかった。托鉢によって余分の食事を得たからこれを翌日に食べようということはできない。つまり、「貯える」といったことが一切許されなかったのだ。