ドライマンゴ

2014年01月13日

これは加藤さんの話。

加藤さんは駅前ビルに勤めている。
接客業ため、自分の時間が自由に取れない。
ところが、50過ぎの加藤さんは血圧が高い。

加藤さんは血圧を抑える薬を同じビルの4階に取りに行っている。

今日は、お客が多くいて、自由が利かなかったので1時前になってしまった。

そのクリニックには?~4人の患者さんが待っていた。


前もって予約を入れていた加藤さんはすぐに、採血の部屋に入れられ、嫌いな注射を腕に入れられた。
看護婦が、「加藤さん、今日は来る前に、何か食べてきましたか?」

と聞かれ、加藤さんは、

「少し、ドライマンゴを食べてきました。」

と正直に答えた。

トイレのほうに行っていた医者に向かって、その看護婦は大きな声で、

「先生、加藤さんは、来る前にドライマンゴを食べて来られたと言うんですが、予定通り、採血してもいいですか?」

と叫んだ。

「何と言った?」

「加藤さんがドライマンゴを・・・」と看護婦は繰り返した。

その声を聞いて先生は、ニヤニヤ笑いながら、おもむろに、

「そのマンゴは、台湾ですか?フィリピンですか?」

と聞く。

「台湾のマンゴだと思います」

と小さく答えたという。

予定通り採血が終わり、待合室に戻ると、そこにいた患者はみんな、

「ドライマンゴを食べたのは、あんたなのか?」

といった顔で、自分を見ていたという。

事の成り行きから、ドライマンゴを食べた加藤さんは、先生のところにドライマンゴを届けたという。