激動の昭和の時代に、九州の一人の男が、山に生きる


当時、大分銀行では、くじ付きの鶴亀定期預金というものを作り、預金獲得に努めていた。

昭和三十年に、私の家がこの預金の特賞に当たった。

同じ頃、福岡銀行でも、同じケースで預金を集めていた。

大分銀行の賞をもらって、日を置かず、今度は福岡銀行の一等に当たった。

大分銀行の特賞三十万円と、福岡銀行の一等十万円を合わせて、四十万円は大きな金だった。

当時、私達は、大きな金ばかり、借りたり、払ったりしていたので、本当の金の値打ちを知らなかったかも知れない。