めんどうみてよ、お父さん

2013年12月12日


沙耶香(2才)は絵を描くのが好きな子供。


暇さえあれば画用紙に鉛筆、サインペン、クレヨンで何やら描いている。
特に人の顔をよく描く。
親の欲目でもあるが、目があり、眉があり鼻と口と耳もチャンと描いてある。
当然ながら顔の輪郭は、時として細長くなったりねじれたりするが、おおむねまともである。


そんな沙耶香が、「おとうさん、描いて」とやって来る。
私は新聞を読んでいたり、テレビを見ていたりすると、ついつい、
「お母さんに描いてもらいなさい」、と言ってしまう。
何やら話しているなと思っていると、大きなお母さんの声が
台所、風呂場、あるいはベランダから飛んでくる。

「お父さん、面倒見てよ」

結局、この声に負けて沙耶香とお絵描きのお稽古。

沙耶香に、

「おとうさん、うまいね」、と誉められたり、

「これ、へんなの」、と言われたり。

こんなことの繰り返し。

ところが、この繰り返しのお陰で着実に沙耶香は成長しているのです。

先日、沙耶香のウンチの臭いをお母さんが嗅ぎ付け、

「お父さんにオシメを換えてもらいなさい」、

と言っているのが聞こえてきた。

私はそのままジーッと新聞を読んでいた。

沙耶香は私の後ろの方で何やらやっている。

そして、私に近づいて来て一言。

「おとうさん、めんどうみてよ」

何と、手に持っているのはオシメである。

それからは、この言葉が頻繁に使われるようになってしまった。

絵を描く時も。

2~3日前の朝食時、沙耶香が味噌汁を少しこぼしてしまった。

沙耶香は箸でそのこぼれた味噌汁をかき回して遊んでいた。

味噌汁はドンドンと広がり、沙耶香の手に負えなく

なってしまった。その時、ハッと気がついたのであろう。

お母さんに怒られると。


そこで、横にいた私に、

「おとうさん、めんどうみてよ」

と一言。私は一瞬と惑ってしまった。