閻魔大王の役割
インドの神話にヤマというのがいて、このヤマは死者第一号であった。
ヤマは天界に行き、そこに緑の楽園を発見した。
彼は楽園の発見者であるから、領土宣言をして楽園の王となった。
つまり、ヤマは死者の国の王となったのだ。
そのヤマに漢字を宛てると、閻魔になる。
閻魔王の支配する死後の世界は、天上界の楽園で、清流があり、音楽が流れ、素晴らしい土地であった。
だが、しばらくするとその楽園に悪人までがやってきた。
そこで閻魔は、地下に牢獄をつくり、そこに悪人を収容した。
その地下の牢獄が地獄である。
かくて、いつの間にか閻魔は地獄の王にされてしまった。
と同時に、閻魔は死者を天界に行かせるか、地獄行きにするか、それを決める裁判官である。
このような閻魔が、仏教とともに日本に渡ってきた。
しかし、日本の閻魔は、楽園の支配者ではなく、死者の地獄行きを決める怖い裁判官と地獄で罪人に責め苦を与える地獄の王の裁判官のイメージだけである。
地獄の王の閻魔さんは部下の青鬼、赤鬼を使って、嘘をついた人間の舌を抜いたり、罪人にドロドロに煮えた銅汁を飲ませたり、鋸で罪人を引いたり、ともかく怖い存在だ。
裁判所としての閻魔の庁には、浄玻璃(じょうはり:水晶のこと)の鏡があって、その鏡に死者の生前の悪行が全部映写される仕掛けになっている。
嘘は、閻魔に見られることを肝に銘じよ。