インドの裸の王様

2013年12月13日

裸の王様
アンデルセンの裸の王様の話はなかなか面白い。

詐欺師が王様に金襴の着物を作って差し上げると言う。
とても軽い着物で、この着物は善人には 見えるが、悪人には見えないという代物である。
そう言われると、王様はじめ家臣たちは、正直に「私には見えない」とは言えない。
そこで王様はその着物を着てパレードする。
ところが、子供は正直で、
「あれ、王様は裸で歩いている」 
と大声で言う。

この話とよく似た話が仏教の経典に出てくる。
昔、インドのある国に毒の雨が降った。
その毒の入った水を飲むと、人間は7日間、気が狂うのである。

その国の王様は、毒の雨が降る前に井戸に蓋をしておいた。
だから、王は毒の入った水を飲まずに済んだ。
けれども、人々に知らせるのが遅れたもので、家来たちはみんな毒の水を飲んでしまった。
そのため、家来はみんな気が狂い、裸になって踊りながら宮殿にやってきた。
宮殿では王様は正気なので、ちゃんと着物を着ている。
すると人々は、
「大変だ、王様は気が狂ってしまった!」
と騒ぎ始めた。
裸の王様
それで、王様は、
「皆の者、確かに私は病気らしい。気が狂ったようだ。今病気を治す薬をのんでくる。」
と言って、奥に入って、着物を脱いで裸になって帰ってきた。
それを見て、家来たちは、安心した。

それから、7日後・・・。
毒水の効果がなくなり、家来たちは全員正気に戻った。
彼らは着物を着て宮殿に行くと、そこに裸の王様を見るのだ。
その王様を見て、彼らは、
「大変だ、王様は気が狂ってしまった! 」
と騒ぎ始めた。
王様は苦笑しながらいった。
「わしは気が狂っているのではない。わしはお前らに合わせていたのだ。お前たちが正気に戻ったようだから、わしも服を着ることにしよう。」

この王様こそ、釈迦そのもののような気がする。