私を愛人に

2013年12月18日

有田さんの話。

有田さんは現在お勤め中。

朝は午前9時に出かけ、夕方は6時に帰宅。

仕事は地区センターの副館長という責任ある仕事。

そのため、家事のことが最近若干手薄になる。

これはある意味仕方ないこと。

子どもたちも、それなりに理解してくれている。

ところが、夫となるとそうは行かないもの。

妻が働いていようといまいと、妻としての役目を当然期待する。

最も端的な例が、夫が家に帰った時に妻がいないと、どうしたのか?と不思議に思い、不満に思う。

また、料理に手抜きが起こると、もう、怒りが爆発してしまう。

そんな状況が、有田さんちにも起きてしまった。

「そんな副館長など辞めてしまえ!」と言われてしまった。

落ち込んだ有田さんはしばらく悩む。

ところが、ある時テレビを見ていて思いついた。

突然、夫に、「私を愛人にして」と迫ったのだ。

夫は突然そういわれたものだから、何が起こったのか、何を聞いたのか、我が目を疑い、我が耳を疑った。

それでも有田さんは、「そう、私がなりたかったのは愛人なの」、と念を押す。

夫は恐る恐る、「どうしたんだ、お前、何を考えているんだ!」と聞いた。

すると、有田さんは、答えた。

「私は自分の仕事はしたい。しかし、そうすれば家事がおろそかになる。だから、私があなたの愛人になれば、家事をしなくても済むじゃない。」

夫は直ぐに、「それじゃあ、家事は誰がやるのか?」、と聞いた。

有田さんは、「そんなの解りきっているじゃあない、本妻よ。あなたが本妻を持てばいいじゃあないの。」

「私はあなたから定期的にお手当てもらうの。」

さすがに、夫は開いた口がふさがらなかったという。

有田さんの素朴な疑問と単純なアプローチが結果的には、有田さんを家事の負担を軽減することになった。

すなわち、夫は有田さんの仕事を認め、料理の数が一品少なくなっても文句を言わなくなった。

洗濯物も夫が取り込むようになった。

夫は今までよりも早く帰ってくるようになった。

子どもが一人で家にいるのは可愛そうだと考えるようになったからであろう。
2008年10月18日