見送り
井戸端会議の有田さんから。
今日のテーマは宝塚歌劇団。
早速、かの有名な有田さんが口火を切る。
私、若いときは、宝塚のことはあまり、興味がなかったの。
おばさんたちが、追っかけをやっているのを見て、バカじゃあないの、って思っていたほど。
ところが、私の友達が宝塚の話をしてから、少しずつ、興味を持ち始めたの。
そのうちに、私も宝塚のとりこになり、追っかけもやるようになってしまった。
あの舞台を見たら、追っかけにならない方が変だよね。
・・・・・?
追っかけをやり始めると、色々な芸能人の追っかけをやってしまうのね?
そんなある日のこと、私の上司の転勤が決まり、羽田からお見送りをすることになった。
見送りには若い女の子がみんな駆り出された。
人数から言って、20人くらいいたのではないだろうか。
早めに羽田に行って、待っていたが、なかなかその上司は現れない。
そんな時、私の後ろの方でなにやらざわめきが起こった。
私は、何が起こったのかなと、その方を見てみると若い女の子の集団が動いていて、キャーッという叫びが聞こえる。
耳をそばだてていると、「ヒカルゲンジ」という声が聞こえてきた。
私は、周りの女の子に、「ヒカルゲンジだって!」と言い、走り始めた。
すると、10人以上の女の子も私について来た。
私が行くと、かすかにヒカルゲンジの後姿を見ることができた。
友達と一緒に、「良かったね、良かったね」と手を握り合って喜んだ。
ところが、ふと我に返った。
「そうだ、お見送りが!」
私たちは元の場所に戻った。
しかし、その時にはすでに、見送りの儀式は済んでいて、転勤の上司は搭乗してしまっていた。
僅かな時間だったのにと思っていたが、多分、20分くらいはヒカルゲンジを追っかけていたのだろう。
その日、会社に戻り、上司に謝った。
こっぴどく怒られたのは当然。
しかし、頭の中では、ヒカリゲンジ、ヒカルゲンジと唱えており。
何も怖くはなかった。
これは、ヒカルゲンジの魔力ね。