性急な恩返しは・・・
2014年01月13日
フランスのモラリストのラ・ロシュフーコー(1680年没)の言葉に、
「あまりにも性急に恩返しをしようとするのは、一種の忘恩行為だ」
というのがある。
我々は、特に日本人は受けた恩は直ぐに返さないといけない、と考える風潮がある。
実は”恩”をサンスクリット語で、
「クリタ・ジュニャター」 という。
意味は、「なされたことを知る」という意味である。
私達が誰かに恩を受けたら、相手が自分にしてくれたことをよくよく考え理解することが「恩」なのだ。
恩とはしみじみと感じることなのだ。
我々は、よく”恩知らず ”という言葉を使うが、これは、受けた恩をじっくりと考えないことを言うのだ。
反対に、「知恩」という言葉がある。
この言葉こそ大事なのだ。
まず、 「知恩」があって、次に「返恩」なのだ。
ところが、仏教では 返恩をあまり重要視しない。
恩を受けた親に恩を返す気持ちがあっても、別に親に恩を返す必要はない。
次の世代、あるいは別の人に、恩を送る「恩送り」こそが大事なのである。
恩というものを、英語的にギブアンドテイクで考えてはいけない。
受けた恩の大きさ、や深さも関係ない。
出来る範囲で、恩を送ればいいのだ。
ただし、恩を受けた時の気持ちは素直に相手に伝えよう。