逃れられぬ運命

2014年01月13日

あの甘酒?

ある高僧がご自分の小学生時代の思い出をされた。

彼は、父親の住職の代わりに檀家の三七日(みなぬか)のお経をあげにいかされた。
仏壇に向かって、小学生が一所懸命にお経をあげていた。
隣の部屋には、多分お経が終わった後の接待であろう。
お膳が用意されていた。
家の人は誰もいない。
そこに赤ん坊が這って出てきた。
赤ん坊はしゃもじを畳の上に投げ捨て、そのしゃもじの上に、「しゃー」とおしっこをしてしまった。
そしてその後、そのしゃもじで、御櫃(おひつ)の中をかき混ぜてしまったのだ。
小学生のお坊さんは、お経をあげながら、横目でその光景を見ていた。


お経が終わった後、お婆さんが出てきて、
「ご馳走を用意をしているから、食べていってくれ」、と言う。
しかし、小学生は、いや、今日はお腹をこわしているので・・・と、ほうほうのていで逃げて帰った。
その七日後、
小学生はまたしても、父親の住職から、同じ檀家の四七日(よなぬか)の法要に行かされた。
今度は、何事もなく終わった。

無事にお経が終わった後、お婆さんが出てきた。
お婆さんは、
「今日は甘酒を用意しているから、食べてくれ」、と勧めた。
小学生は甘酒が大好物だったので、喜んで甘酒をごちそうになった。三杯もおかわりをした。
その後、お婆さんがこう言った。
「いやー、よかった。先週はあなたが何も食べてくれないので、御飯が余ってしまった。それで、その御飯で甘酒を作った。」

高僧曰く、
「頂戴せんならんものは、どうしたって頂戴するようにできている・・・」

「運命とはそういうものなのです。」