横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

最近の塾の過熱ぶりにはどこか狂ったところがあると感じていた。

ところが、そんな話しが我が家でも今年の初めから話題にのぼり始めた。
静香の私立中学の話しである。
私立中学入学の是非は一年後に議論をするとして、
学力をそのレベルまで持っていっておかなければならないと考え、静香と相談の結果、行かせることにした。

今年の5月からである。
クラス分けの試験をやったところ、何と驚くことに散々なる成績であった。
理由は学校と塾の授業の進み具合が違うからであったのだろう。
しかし、そんなことは解っていても、静香にとっては大きなショックであったらしい。
「もう、試験は受けたくない」
と言って泣いていた。
授業は週4日。一日平均3時間。
宿題もたっぷりでる。
それをこなすのに時には夜12時近くにもなっしまう。

小さい体で一生懸命宿題をやっているのを見るとついつい手助けしてやりたくなる。
しかし、静香の性格からして全て自分でやらなければ済まないのである。
どうしても、解らないところは聞きにくるが、それも滅多にない。
自分のペ-スでゆっくりやっているため、風呂に入るのはいつも最後。
そうして、半年が過ぎようとしている。この半年の間に静香が大きく変化してきた。

塾の授業のペ-スに慣れたこと。
成績が少しずつ上がって自分に自信を持ち始めたこと。
今までの家と学校の世界から離れて、自分でバス通学をし、行動範囲が広がったこと。
違った学校の友達ができたことなどが主な理由だろうと思う。
静香の塾通いを通して、いろんなことを知り、考えさせられた。
都会の親の進学に対する熱心さと馬鹿さ加減。
しかし、現実に競争の厳しさを知るあまり、早くからその準備に入ること。
また、それらの施設が沢山あること。
そして、親の意向通りには子供はならないこと、等々。

私の経験を思い出すと田舎はのんびりしていた。
小学時代に試験勉強などはしたことがない。
50点でも60点でも当時の私にとってはどうでも良かった。
唯一、学期末に渡される通知表の点が4点から3点に下がると親父さんから怒られるかなと不安に思う程度。
「来学期は頑張るんだぞ!」
と言われ、ただ、
「うん」
と返事をするだけ。後は何もかも忘れて外で遊びまくるのである。
しかし、それでも中学に入ると何故か猛烈に勉強を始めていた。

そんな私が静香を見ると、
『小学生ではかわいそうだな』
という気がする。
私立中学に入れる一番の理由は教育レベルが高いことと6年一貫教育の魅力だろうと思う。
また、公立中学は構内暴力などで風紀が乱れている学校が多いこともあり、行かせたくない。
一方、満員列車に揺られてまでの遠距離通学はさせたくはない。
かくして学校選びに“揺れる父親・母親の心”となるのです。
静香自身としては、自信をつけてきており、試験が次第に楽しくなり始めている。

まさに、戦う気構えが芽生え始めたところといった感じ。
しかも、先生、友達の情報で、
「xxx中学はレヘルが高い」
とかいった会話も出始めていると言う。
我々は決して静香の前を走ってはいけないのだろうと思っているのです。
静香が息切れしないよう、暖かく見守ってやるだけです。
私の親もそうしてくれたのです。