昨日は、思いもかけない光景を見ることになった。
仕事の関係で、初めて家内と出かけた。行き先は吉祥寺。
青葉台の駅で電車を待っていた。
すると、家内が私の耳元でささやく。
「いやな人が向こうにいる」、と。
私がホームの人たちを見てみたがそれらしき人はいない。
家内は、「向こうのホームよ」、と言う。
居たのは依田(仮称)であった。
しかし、歩き方が変なので、じっと見ていたら、
ご主人らしき人が手すりに触りながらゆっくり歩いていた。
どうも、脳梗塞をわずらった患者のようで、足が自由に動かない。
2~3歩歩いては休憩している。
その光景がすぐ目の前にあった。
そもそも、この依田という人は、遊ぶ話ばかり。
次から次へと旅行や芝居、映画の計画を立てていく人だった。
「主人はいいのよ、もともと遊びが嫌いなんだから。私は主人と旅行にいくなんて考えられない。しかし、時には一緒にご飯を食べてやらないと、遊ぶお金がもらえない」、と平気で嘯(うそぶ)く女だった。
この女はいつも、
「他人の不幸は蜜の味っていうじゃない・・・」
というのが口癖だった。
我々はそれでも、我慢をして付き合っていた。
ところがある日、この女は私の家内に攻撃を仕掛けてきた。
ちょっとした、やり取りからである。
日ごろ起こったことのない家内が机をたたいて怒鳴った。
それほど嫌な女だったのだ。
その女が、今我々の前を、まともに歩けない夫を連れて歩いている。
私は思った。
なぜ神は、この光景を私たちに見せたのだろうか?
何のメッセージなのか?
ともかく、不思議な一日だった。