横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

福井さんは60歳前の独身女性。彼女には一人の妹さんがいる。

その妹さんには美代ちゃんという娘さんがいる。歳はまだ8歳くらい。
福井さんはその妹さん親子とデパートに買い物に行くことがある。
お昼になると、妹は
「さあ、お昼にしましょう。美代ちゃん、お昼は何にしましょうか?」
と聞くと、
必ずツルツルがいい、 と返ってくる。
福井さんとしては、たまのショッピング。お昼はバンと張り込んで2,500円くらいの松花堂弁当にしたいが、
ついつい子供がツルツルだから、自分も遠慮してしまう。

しかし、この妹の子供に対するアプローチはいいなと福井さんは思う。
親が子供に意見を聞くということは、会話の始まり。たとえ、それが些細なことでも。
子供にとっては、自分は親から信頼されているということが実感できる。
また、自分の考えを話をするということは人として、最も重要なこと。

この話を始めたら、福井さんはもう一つの話を始めた。
むかし、福井さんが二十歳の頃、自分のいとこで高校生の一郎君がいた。
一郎君は、不幸にして幼い頃父親を亡くし、母一人子一人で育った。
その母親は、意図があったかどうかは解らないが、ことある度に息子の一郎に相談しながら生活していた。
その一郎君は、もちろん、自分の家計のことや色々なことを頭に入れながら生活していたから、
いざ大学受験も無理をせずに浪人せず大阪大学に入学した。
親戚のもの、学校の先生も東大を勧めたが一郎君は頑として譲らなかったという。
今は立派な弁護士さん。

福井さんはその一郎君を育てた母親の素晴らしさを絶賛する。
全てを息子に話し、共に生きた彼女の生き方が素晴らしい、と。