横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

融通念仏

1117年、僧の良忍が一心不乱に念仏を唱えていた。

 

そこに、阿弥陀如来の示現があった。偈(げ、とは、仏の教えや仏・菩薩の徳をたたえるのに韻文の形式で述べたもの)を感得した。 「 一人一切人、一切人一人、一行一切行、一切行一行」 実はこの偈(げ)が融通念仏の思想的根拠になのである。
良忍はこの偈(げ)に基づいて融通念仏の理論を完成し、融通念仏宗を開いた。
この念仏理論は、この宇宙に存在しているもののうち、他から孤立して単独で存在しているものはない。一つのものは宇宙全体の一つであり、その一つが全体(一切)に他ならないのだ、というものである。
私達は一人一人が別々の存在であるかのように思っているが、家族であれ、あるいは職場の集団であれ、、誰か一人が病気になったようなとき、全員の気が滅入るものである。
その意味では、一人の行動がその人一人のものではなく、みんなに影響しているのだ。
そう考えると、』この宇宙においては、一人が一切人であり、一切人が一人なのだ。

そして、一人が唱えるお念仏が他の人のお念仏になり、他の総ての人が唱えるお念仏が私自身のお念仏になるのである。
良忍はそのようなお念仏を”融通”と呼んだのだ。
私のお念仏を他人に融通してもらい、他人のお念仏を自分に融通してもらう。

我々は、多くの人が心を一つにして、「頑張れ」と唱えたとき、そのエネルギーが伝わるというのは殆どの人が実感している。