横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

佐藤文夫が東京に行ってしまうと、親父とお袋の心配が始まる。

どうも、お袋にも財布の中身を見せたのだ。
私も見た。
多分、100万円位はいつも財布の中に入れておかないと、仕事にならないのだと言いながら。

私が文夫君から聞いた話をお袋にした。
多分、文夫君は親父とお袋には、私にした話などしていなかったのであろう。
あの財布の金は盗んだものではないだろうか?と二人は心配するのだ。

しかし、その心配は数年後に突然やってくるのである。
私が高校二年の春のことだったと思う?
いかにもヤクザっぽい男が我が家を訪ねて来たのだ。
私は正確には聞かされていないが、どうも、文夫君は仕事の拠点を名古屋に置いていたらしく、そこで、マネジャーの仕事をしていたが、突如、400万円を持って逃走したと言う。
後で、文夫君から直接聞いた話では、自分が稼ぎ出した儲けは400万円どころではない。
だから、自分の取り分として、いただいたのだということだった。
これこそ無茶苦茶な論理である。

そのヤクザは、盗まれた金額を本人に代わり、親が払えというのだ。

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親父は、ようやく、新築が完成した時だから、400万円を直ぐに払えるわけがない。
しかし、親父の考えは一つ。
「文夫が捕まっても何も問題はない。しかし、家から罪人を出すことは、兄弟姉妹の肩身を狭くするし、かずえの結婚に影響してしまう。どうしても、それだけは避けなければならない。」
このことで、毎晩毎晩、家では電灯を消し、対策会議。
その会議は親父、お袋、啓一兄と久夫兄。
私は勉強のために二階にいたが、勉強など手につくはずもない。

それ以降、家の中のリズムは大きく崩れてしまう。暗いトンネルに入り込み、出口が見えない。

結論は、そのヤクザに金を払い、一件落着だが、その影響は当分消えなかった。
だからこそ、私の大学行きは当分考えられなく、私は、就職を考えた。一度就職し、それから大学を受けようと内心で決めたのだ。