お知らせ

2014年01月14日 書き下ろし小説 山の声

山の声 久泉の製材所

夫の兄さんの初さんも、製材所を始めたいという希望があったので、中広川久泉に、土地三百六十坪を、四十五万円で買い取った。昭和三十年ころと思う。 早津山で解体した製材機を、ここに据えた。小さな杉山を買って、運営は兄さんがされ…

2014年01月14日 書き下ろし小説 山の声

山の声 杉の山

早津山の製材所は閉鎖したので、その製材機の一部を上津村の抽木(ゆうぎ)に据えた。ここも水力を利用して、機械を廻した。 長年にわたり、野村工場で職工を務めてくれた足立安夫氏を責任者として、ここの工場の運営を任せた。 この抽…

2014年01月14日 書き下ろし小説 山の声

山の声 日田の住い

早津山の方は、道路もまあまあ良くなり、日に数台、荷を積んだトラックが、山から下っていた。 ある日、一台のトラックが、山から荷を積んで、降りる途中、カーブを曲がりそこなって、谷に落ちた。道の片側は、川に続く幅広い傾斜で、川…

2014年01月14日 書き下ろし小説 山の声

山の声 母の死

兄は終戦と同時に除隊となり、実家に帰った。母も息子や孫たちと暮らすようになり安心だったと思う。 復員した兄も、さしあたり仕事が無くて迷っていたので、材木屋でもやったらという私達の提案で、本人もその気になり、私達の広川の製…