新巻鮭の話

昔、私がトルコに出張する際、ある商社の人に聞いた。
トルコ駐在の大使に会うのに、どんな土産がいいだろうかと聞いた。
すると、新巻鮭がいいというので、早速手配した。
トルコについて、チェックインするとき、これは何だ?ときかれたので、新巻鮭と片言の英語で説明した。
しかし、良くわからないようだったので、サーモンの燻製だと説明した。
無事通関を通った。

新巻鮭をホテルに持ち込んだが、部屋においておくわけに行かず、ホテルの人に預かってもらうように頼んだ。
大使とは予定より、一週間くらい遅れて会うことになった。
早速冷蔵庫に入っている新巻鮭を出してもらったら、なにやら、臭う。
腐った臭いだ。
私はホテルの者に聞いてみた。




これは冷蔵庫に入れていたのか、と。
すると、違うという。
そんな指示は受けていないという。
その時は初夏だった。
おお、トルコだ。
新巻鮭が腐るとは!
まあ、大使に渡す新巻鮭ゆえ、別に残念だったとは思わなかった。
駐在員に渡すのだったら、残念だったが。
トルコがテレビに出るたびに、新巻鮭をのことを思い出す。