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福沢諭吉と総選挙

政治は人の肉体を制するものにして、教育はその心を養うものなり。
ゆえに政治の働は急劇にして、教育の効は緩慢なり。・・・・・

政府はその実際の利害につき、あるいは課税を軽重し保護を左右するなどの術を施して、たちまちこれを盛ならしめ、またたちまちこれを衰えしむること、はなはだやすし。・・・・・

すなわち政治固有の性質にして、その働の急劇なるは事実の要用においてまぬかるべからざるものなり。その細目にいたりては、一年農作の飢饉にあえば、これを救うの術を施し、一時、商況の不景気を見れば、その回復の法をはかり、敵国外患の警を聞けばただちに兵を足し、事、平和に帰すれば、また財政を脩むる等、左顧右視、臨機応変、一日片時も怠慢に附すべからず、一小事件も容易に看過すべからず。政治の働、活溌なりというべし。・・・・・

古来、暴君汚吏の悪政に窘められて人民手足をくところなしなどと、その時にあたりては物論はなはだ喧しといえども、暴君去り汚吏除くときは、その余殃よおうを長く社会にとどめることなし。・・・・・

などと、福沢先生は、為政者を当てにしていない。

すなわち、為政者なるものは、時として偽善者で、信じるに足りない。

人民は、政治家は悪をなすものと考えよという。

そこで、今度の総選挙では、より悪に加担しそうにない人、あるいは党を選ぶしかないのだ。

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