横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

ゴアという町がインドにあることをご存知だろうか?
ゴアと言えば、テレビ番組のマグマ大使に出て来る地球侵略を狙う「宇宙の帝王」ゴアを思い出す。
ゴアはボンベイ、今のムンバイの北にある観光地、と言ってもヨーロッパ、特に英国の人が冬の寒さから逃れて来るところらしい。
ある日、そのゴアの医師から東芝に一通の手紙が届いたことからこの物語は始まる。
東芝の社長秘書室から医用機器事業部長に電話が入る。
そして、事業部長から私が呼ばれて、私が手紙を取りに行く羽目になる。
社長秘書室長から、一通の手紙が渡され、これを直ぐに処理するようにと言われる。こんなことは滅多にないことである。
手紙の内容はこうだ。
自分はアメリカの東芝からCTを購入した。その貨物は予定通り届いたから、インドの東芝の販売代理店にコンタクトして据え付けを要請すると、自分達から購入したものではないから、据え付けはできないと言われたと言う。それから数ヶ月経つ。購入したアメリカの東芝にコンタクトしても何の連絡もない。だから、結局、東芝の社長に手紙を書いたと言うのだ。
私はその手紙を読み、コピーを東芝アメリカ(TAI)のメディカル部門に送った。そこには、日本から住田が副社長として行っている。
住田と言えば、私が課長になる時に、
「佐藤君、アジア、中東、アフリカに高額装置は売るな」と言った男。
住田から返事が返って来た。
「本件、アメリカとは関係ない」、と冷たい返事。
私はそう来るだろうと予測していた。
そこで、私は、住田に、
「貴方の部下が医療機器のセコハン屋に売ったものではないか?」と責めた。
すると、住田は、アメリカのセコハン屋がどこに売ろうと自分達は感知しないと返って来た。
しかし、私は、そのセコハン屋が売る際に、貴方の部下が製品保証のようなものを発行はしなかったのかと詰問した。
住田はそのことを否定した上で、TAIとして協力できることはこれ以上ないと言ってきた。
私は、そういう結論なのかと言った上で、その旨、社長に報告すると伝えると、住田は初めてことの重大性が分かったらしく慌てて、真相を調べて報告して来た。
私が指摘した通り、TAIからセコハン屋宛に製品保証のレターを発行していたことが判明した。
住田という奴はそういう奴なんだ。
私は、CTエンジニアの梶君を連れてインドのボンベイまで飛んだ。
そこで販売代理店の大番頭のドグラという男と一緒にゴアのドクターに会いに行った。
ドグラは私より6〜7歳くらい若かっただろう。しかし、誠実な男で、言葉の一つ一つに重みを感じた。
ドクターのクリニックに入ったら、アメリカのセコハン屋から買ったCTが置いてあった。
早速、エンジニアの梶は1日かけて検査を行った。しかし、かなりの部分が錆びていて使い物にはならないことは明白であった。
梶くんは、ギターが上手く、夕食の時、ドクターの前でギター演奏をしたのもドクターには好印象を与えたようだった。
我々はドクターと話し合いを持ち、この装置は錆びていて全く使えない。どうか新しい装置を買っていただきたいと誠実に申し入れた。当然、価格は特別に考慮する旨を告げた。
そのドクターは、はるばる日本からエンジニアと一緒に来てくれたことに対し感謝すると言ってくれた。
新品を買うことを検討する旨伝えてくれた。
後はドグラの仕事。
後日、我々が日本に帰国して間もなくして、ドグラから注文を受けた旨の連絡が入った。
社長には、後日報告した。

多分1990年頃のことだったと記憶する。

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