横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

私はこの夢では東芝の主任として働いているようだ。

どうも二、三週間後にアメリカに出張する予定のようだ。

そして、今日は年の暮れの仕事納めの日。

会社の若いスタッフはもう帰り支度をしている光景。

どうも、その日は忘年会がある予定のようだ。

みんな各所で着替えをしていた。

東芝のビルは現実のビルとはまるで違っていた。

私はアメリカ出張の準備のため、同僚の石川のところに行き、少し話をした後、

エレベータホールに行った時、そこで、思わぬ人に出会った。

叔父の八郎さんだ。この人はもう死んでいるのにどうして東芝に来ているのだろうかと不思議に思っていたが、懐かしさのあまり、私は八郎さんと抱擁した。

八郎さんは白い髭が生え、目に涙を溜めていた。八郎さんが生きている時、白い髭など生やしたことなどなかった。

私はふと横を見ると、そこに久夫兄と秀夫兄のいるのに驚いた。

二人は東芝の誰かに会いに来たと言い、今から田舎に戻るという。

そのため、服を着替えているのだと私に説明した。

私は二人を何処か空いている会議室に案内するために探した。

しかし、どの部屋も人が居て適当な会議室が見つからない。

ビルの中を歩いていると、確かに、久夫兄にも秀夫兄にも挨拶をして通る人達がいた。

どうして、兄貴達が東芝の人を知っているのか不思議に思った。

ようやく、空いた会議室を見つけると、二人は着替えを始めた。そこには、もう八郎さんは居なかった。

秀夫兄のバッグから何やら子供の描いた絵が二、三枚落ちて来た。

何故か突如、この夢の中に秀夫兄の奥さんの洋子さんが現れ、「これは直子と雅美の描いた絵」だと説明をしてくれた。

この瞬間、私は目を覚ました。

そして、隣で寝て居る賀代に声をかけた。

「今見た夢は変な夢だった」、と。

そして、私はふと気がついた。

私はあの世に行っていたのだと思った。

確かに、兄二人は登場したものの、実際に話をした感覚はなかった。全て、彼らの気持ちを私が察知したものだった。

この変な夢の話を隣に寝ている賀代に話をした。

時は午前二時半だった。

そして、再び、私は眠りに入った。

次に私が見た夢は次の通り。

今度の場面は明るい日差しの坂道。

登場人物は先程の久夫兄と秀夫兄。

私は秀夫兄と話をしながらその坂道を歩いている。

しかし、久夫兄の存在は感じるが姿は見えない。

秀夫兄と私は話をしながら歩いているが、秀夫兄はその私の質問に答えることはなかった。

秀夫兄は頭は剃り上げていて、坊さんの姿であった。

しかし、袈裟を着てはいなかった。

途中、建物が右側にあり、その建物の大きな柱の側に秀夫兄は座った。ちょうど日陰に入った感じ。

私は座ったままの兄に死後の話を仕切に聞いている。

そこに、突如、建物の下を歩いて来た坊さんが秀夫兄の前に立ち手を合わせて拝んだ。その坊さんは黒い袈裟を着て、頭は剃って丸坊主。

私はおかしなことをするものだと不思議に思いながらその光景を見ていた。

坊さんが去った後も、私は秀夫兄に質問をしていたが、突如、坂の上から一人の白髪混じりの小柄な女がスタスタと歩いて下りて来た。その女が私の横を通った瞬間、何故か私もそろそろ帰らないといけないと直感で感じた。

秀夫兄と久夫兄に挨拶をしたかどうかわからないが、焦って私は坂道を登っていった。坂道はそれほど傾斜はなかった。

遠くに見えているトンネルに向かってまっすぐに歩いて行った。

トンネルに入った頃、なぜか、誰かに追われているように思え、気持ちが焦っている自分が分かった。

トンネルはそれほど長くなく、トンネルを抜けると、そこは苔むした大きな石段があり、その石段を登らなければならない。

私は焦る気持ちで、その石段を登ろうとするが足が石にかからず、気持ちが動転するばかり。

そこで、目が覚めた。その瞬間、私は死の世界に行っていたことを直感した。

しかも、これは先ほど見た夢の続きであったことも悟った。

時は午前四時半。

この夢は決して、怖い夢ではないことはハッキリ言える。

この夢から、感じたことを書いてみる。

この夢に出て来た建物は私が見たことのないものばかり。

東芝ビルも現実のビルではない。

登場人物の久夫兄、秀夫兄、八郎叔父、同僚の石川以外は全く知らない人々。石川は今生きているかどうかは知らない。

夢から覚める前に出てきた、洋子さんが絵のことを説明のように現れたのは不思議な気がする。

あの世の人との会話は言葉ではなく、テレパシーのようなものではなかろうか。

この夢に登場した秀夫兄も何かをしゃべる様子は全くなかった。

この夢は実に鮮やかな日差しの中の緑が見えた。

現実とあの世の通路はトンネルだった。

黄泉の世界は現実世界からトンネルを通り抜けると下り坂で、歩いて降りて行くようだ。

この夢を見てから、数日、この夢の光景が頭から離れない。

秀夫兄は私を現実世界への帰り道のトンネルまで連れて来てくれたのではなかろうか、と思う。もう帰れ、と。

しかし、何故、トンネルの見えるところまで来て、坊さんが現れ、合掌したのか分からない。そこで、私は考えた。ひょっとすると私と一緒に現実世界に戻ろうと思ったのではなかろうか?それを坊さんに諌められたのではあるまいか?

通常は、このトンネルの辺りには死人は来てはいけないのではなかろうか?

トンネルからの下り坂を降りて来る死人はいても、トンネルに向かって進む死人はいないはずである。

秀夫兄は現実世界に戻りたいこと、気になっていることがあったのではなかろうか?

 

2022年1月4日

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