横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

昌三は貿易科を出て、東京の文祥堂株式会社の外商部に勤めていた。

高校の時から、親元を離れ、東京で暮らしている彼は、親も年老いたので、一人息子の自分は、福岡でこれからの人生を築こうと思ったらしい。彼の夢は、不動産会社設立だった。

帰ってみると、彼の予想に反し、もう昔の財産は、我が家には無くなっていた。

彼は、大名町に不動産事務所を、自分で持ち、営業するようになった。将来は不動産鑑定士の資格をと、志していたらしい。

昭和三十七年に、由紀枝さんと結婚した。

私も当時大名町に、店を持っていたので、ゆっくり息子と話す時間もなかった。

ある日、彼は彼女を紹介して、結婚することを打ち明けた。紹介された由紀枝さんは、岩田屋デパートに勤めている人で、財産もある所の一人娘さんだった。明るい性格に私も好感を持ち、すぐに賛成した。

やがて、結婚式も盛大に挙げ、二人はアパートを借りて、近くに住むようになった。気立ての優しい若い夫婦を得て、私達も大変心強く思い喜んだ。