「ロンドン大学で勉強している」と言う娘の電話で少しは安心していた。
その後は、私も忙しいので時々思い出すくらいだった。
一ヶ月半ほど経ち、娘から手紙が来た。急いで封を切ると、手紙と一緒に男性の写真が出てきた。手紙には、この人と結婚したいから、許してほしいと書いてあった。
今は国際結婚でも、さして驚かないが、当時は私も、あまりにも外国を知らなかった。
手紙を見た私は、心臓の止まるほど驚いた。こちらからは、その結婚は駄目だと言い、娘からは引き続き手紙が来るし、男性からも丁寧な手紙をもらった。
最後には、夫も、「仕方ないじゃあないか、よさそうな男性だし」と言うので、許すという返事を書いた。
結婚には出て欲しいと言ってきたが、出席できず、娘も淋しかったことと思う。
結婚の支度もしてやらなかったし、思えば可哀想な娘である。
しかし、婿となる人は申し分のない人格者で、人情暑く、家庭を大事にする男性なので、その点、娘も幸せと思い、良かったと思っている。
三年目に、子供を一人連れ、三人で日本に来た。この時、娘婿と孫のマーゼンに、初めて私達は会ったわけである。
色が白く、目の大きい実に可愛い男の子だった。
この孫マーゼンも今は、アメリカのコロンビア大学院で学んでいる。