横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

ここにきて、沙耶香(2才)の成長には目覚ましいものを感じる。

走るのも跳ぶように走り始めた。
言葉のほうも随分としゃべるようになってきた。
ある時には、母親のネックレスを首に掛け、ハンドバックを腕に下げ、
母親に向かって、声の調子を高めに、
「マァ、オクサマ、ワタクシ、コレカラ、オカイモノニ、イッテキマスノ」
などと言ったとか。

こんなに小さいのに、よくも知恵が働くものだと驚く。
そんなある日、郷(8才)がサッカ-の練習に出掛ける時、私に、
「ヴェルディの試合をビデオに撮っといて」と言って出掛ける。
私は言われた通りビデオの準備に取り掛かる。ところが、ビデオが動かない。
あれこれ原因を調べてみるが解らない。
次に工具箱を持って来てテ-プを分解してみる。

テ-プ自体には問題がない。
色々考えた末にフッと思いつき、
「お母さん、最近、沙耶香は何かを、ビデオの中に入れなかったか」
と尋ねる。
すると、
「アッ、そうそう。昨日から、ブドウのキ-ホルダ-が無くなったと、
しきりにビデオの下のタンスの引き出しを指差していた」
と言う。私は直ぐに、ビデオのテ-プ挿入口をのぞいて見た。
すると、中に紫色のキ-ホルダ-が見える。これで原因が解った。

早速、ビデオの分解に入る。ところが、ドライバ-がない。
「サ-タン、トライバ-を知らないか?」
と聞くと、
「ドライバ-はここにあるよ」
と、自分のおもちゃ箱から持って来る。
分解し、キ-ホルダ-を取り出すと、それで全て解決。
「電気屋に修理に出したら、随分取られただろうなぁ。」
「そうよ。ひょっとしたら小一万円は取られていたかも知れないよ。近頃の電気屋はしっかりしてるから」

などと、夫婦の会話を交わしつつ、ビデオの組み立てに入ろうとすると、
また工具箱の中に先ほどのドライバ-が見当たらない。
そこでまた沙耶香に、
「サ-タン、ドライバ-がどこにあるか知ってる?」
と聞くと、
「ウン、知ってるよ。ここよ。」
と言いながら、洗面所に走る。
そして、
「ここにあるでしょ」
と付いて行った静香に言っている。

すると、静香はいきなり笑い出し、
「それはドライヤ-でしょう。」
私もお母さんも思わず吹き出した。
あわてて私は周囲を見回した。
すると、ビデオの陰に白いドライバ-が見つかった。
「沙耶香、ゴメン」と心の中で謝りながら、再び大笑いの渦に巻き込まれていった。