横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

あの甘酒?

ある高僧がご自分の小学生時代の思い出をされた。

彼は、父親の住職の代わりに檀家の三七日(みなぬか)のお経をあげにいかされた。
仏壇に向かって、小学生が一所懸命にお経をあげていた。
隣の部屋には、多分お経が終わった後の接待であろう。
お膳が用意されていた。
家の人は誰もいない。
そこに赤ん坊が這って出てきた。
赤ん坊はしゃもじを畳の上に投げ捨て、そのしゃもじの上に、「しゃー」とおしっこをしてしまった。
そしてその後、そのしゃもじで、御櫃(おひつ)の中をかき混ぜてしまったのだ。
小学生のお坊さんは、お経をあげながら、横目でその光景を見ていた。

お経が終わった後、お婆さんが出てきて、
「ご馳走を用意をしているから、食べていってくれ」、と言う。
しかし、小学生は、いや、今日はお腹をこわしているので・・・と、ほうほうのていで逃げて帰った。
その七日後、
小学生はまたしても、父親の住職から、同じ檀家の四七日(よなぬか)の法要に行かされた。
今度は、何事もなく終わった。

無事にお経が終わった後、お婆さんが出てきた。
お婆さんは、
「今日は甘酒を用意しているから、食べてくれ」、と勧めた。
小学生は甘酒が大好物だったので、喜んで甘酒をごちそうになった。三杯もおかわりをした。
その後、お婆さんがこう言った。
「いやー、よかった。先週はあなたが何も食べてくれないので、御飯が余ってしまった。それで、その御飯で甘酒を作った。」

高僧曰く、
「頂戴せんならんものは、どうしたって頂戴するようにできている・・・」

「運命とはそういうものなのです。」