お知らせ
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 敗戦
昭和二十年の八月、突如詔勅が下がり、終戦を迎えた。 国民皆大きなショックを受けた。勿論、敗戦の悔しさはあったが、兎に角、戦争は終わったという、ほっとした気持ちもあった。 しかし、一方では、アメリカ兵が上陸して来て、女や子…
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 義父の死
義父は二月のころから、胃が悪いと言い、近くの医院から、薬をもらって飲んでいた。それでも、次第に食欲がなくなり、衰えていった。久留米医大に診察に行くよう、みんなで勧めても、本人は大したことはないと言って、診てもらうことを拒…
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 太平洋戦争
昭和十六年から太平洋戦争となり、世はまさに戦時中だった。 昭和二十年5月に、三女澄江が生まれた。 この子は、胎内の時からよく動いていたので、男の子と思っていたくらいだった。勿論、男の子がもう一人欲しいとも思っていた。 戦…
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 捨てる神拾う神
無一文になった私たちは、これから先ずどんな方法で行こうかと話し合っていた。その時、私たちの仲人だった野中のおじさんが、 「おれの杉を伐採せんか。代金は製品を売り上げた分だけ分納すればよかけん。」 と言ってくれた。 私たち…