横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

2020年10月1日のAFPから下記内容が報道された。
約6万年前にヒトゲノムに挿入されたネアンデルタール人の遺伝子の断片が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクを高めることが分かったとする研究報告が9月30日、英科学誌ネイチャーに発表された。
ネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子コードを保有する人が新型コロナに感染すると、人工呼吸器が必要となる可能性が3倍高くなるという。

新型コロナの重症化との関係が濃厚な遺伝子は、ウイルスが細胞の中に入ったり、免疫が反応したりする時に関係する遺伝子の近くにあり、第3染色体の一部分に位置しています。この遺伝子を2セット持っていると、持っていない人に比べて新型コロナで重症化する率が3倍になると言われています。今のところ、なぜこの遺伝子があると重症化するのか、その他の病原菌とはどう関連するのかなど、詳細な理由はまだ分かっていません。

そして驚くのは、この第3染色体にある遺伝子がネアンデルタール人に由来するという研究結果があることです。

著者の1人はスヴァンテ・ペーボ教授で、2010年にネアンデルタール人の全ゲノム(細胞の中の遺伝情報全体)解読に成功したことで有名な人類学のスター研究者です。ネアンデルタール人は数万年前に絶滅した化石人類ですが、現生人類のゲノムの一部にネアンデルタール人の遺伝子が残っていることを明らかにし、大きな話題を呼びました。

ペーボ教授らの研究では、新型コロナの重症化に関係する第3染色体にある遺伝子と、各地の絶滅人類から抽出されたゲノムとの照合が行われました。

その結果、問題の遺伝子はネアンデルタール人の遺伝子に類似しており、約4~6万年前に現生人類のゲノムに入ってきた可能性が高いことが分かりました。しかも、クロアチアで発掘されたネアンデルタール人の遺伝子です。

ではネアンデルタール人に由来し新型コロナの重症化に関係する遺伝子は、現代では世界のどこで多く見られるのでしょうか。研究グループは、世界各地の現代人のゲノムとの比較も行いました。

興味深いことに、この遺伝子は東アジアとアフリカではほとんど見られませんでした。

多かった地域は

南アジアの30パーセント、続いてヨーロッパの8パーセント、アメリカの4パーセントです。南アジアの中でもバングラデシュで最も頻度が高く、人口の63パーセントが少なくとも1セットの遺伝子、さらに13パーセントは2セットの遺伝子を持っていました。

通説では、約6万年前に現生人類の祖先はアフリカを出発し、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア各地に広がっていったと考えられています。その過程で一部の現生人類のゲノムに入ったネアンデルタール人の遺伝子が、今回のように地域ごとに異なって分布した理由はなぜでしょうか。仮説の一つとして、各種病原菌の過去の流行状況が地域ごとに違うことが影響したのではと考えられており、このような過去の人類史が新型コロナのパンデミックにも関係しているというわけです。

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