横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

少しずつ、アジア、中東、アフリカの販売代理店会議も各地で行うようになっていった。
初めてマレーシアのペナン島やシンガポールで開いた時はASEAN諸国からしか参加しなかったが、香港で開いた時は中東や北アフリカ諸国からの参加もあった。
その頃、次第に、自分の国でやりたいと言う代理店が増えてきて、私に直接交渉をするようになっていった。
そこで、私は、会議の終わりに、次回やりたいという候補者にそれぞれ、開催地の魅力をアピールする場を与えた。そして、多数決で決めるようにした。
それから、優秀代理店の表彰式を行うようにした。
最初は、この表彰状も形式のように思っていた代理店も、本気で欲しくなっていった。
香港の次はインドネシアに決まった。
インドネシアはアティック社長のテリトリー。以前からKUANさんには負けたくないと対抗心を抱いていた。
インドネシアでの開催地は、ジャカルタでもなくバリでもない。その当時はほとんど知られていない日本のJALが開発した島で、本当に小さな島だった。
多分周囲が1キロメートルもない島で、そこはホテルが一つ。と言っても部屋はバンガローのように転々と散らばり、夜は背丈の低い照明灯がぼんやりと点いているだけ。
泊まり客は我々総勢80人くらい。
各国から、ジャカルタに来るとJALホテルに集まり、翌朝、小さなボートで島に渡る。そこに行くのに1時間以上かかった。
午前中はお勉強。
午後からはみんな、海に飛び込んで遊ぶ。
海と言っても、深さはいきなり10メートルの深さ。
ちょっと泳いで20メートル行くと、ドーンと深くなる。
南アフリカから来たベジェレとマイクは手回しよくアクアラングを用意していて、彼等は遊び慣れているとみんなが感心したほどだった。
夕方はみんなで、小船でトローリングをして遊ぶ。
みんな竿を持ってトライをするが簡単に釣れない。
ところが、KUANさんだけが、50cm以上あるサヨリをゲット。
私はこの時初めて知ったのだが、南シナ海にあるこの島は、ジャワ島からかなり離れた島なのに、海は凪いでいて波がほとんど立たないのだ。
ところで、今回の代理店会議の目玉はアメリカから来るMRIのスペシャリストの講義であった。
まだ、代理店の多くの人はMRIというものを売ったことがなかったのだ。
是非、売りたいのだがMRIの知識がない。
そこで、彼らの希望で、この企画を立てた。
MRIスペシャリストはカール・ベーカーという男だった。
彼は元々、大学の物理の講師だった。GEが彼を見つけて、MRIスペシャリストとして採用し、なおかつ、販売もさせた。
結構、営業成績も良かったが処遇の点でGEと折り合いが悪くなり、東芝が高い金で招き入れたのだ。彼の話はジョークを交え楽しかったし、分かりやすかった。
彼の生年月日は、正に私と同じだと分かり、不思議な運命を感じた。
彼の話によると、彼の親父は大工。
一方、彼は小さい時から頭が良く、大学も二年間で卒業しマスターコースに進み、そこを卒業すると、その大学の講師になったとか。
その男が半ズボン姿でみんなの前に現れたのだ。
アメリカ人のようなイメージから程遠い感じだが、講義は面白い。とぼけたところがいい。しかも、CTやMRIの他医学にも精通していた。
この時期、アジア、中東、アフリカではCTの販売に力を入れて販売していた頃で、彼らにはCTとMRIの診断方法などの違いが分からなかった時なので、カールの講義で、彼らは目を覚まされた感じだったと思う。

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