横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

海外営業をしていて、全てが上手く行くわけではない。
販売活動が上手く行かず、代理店を切らなければならないこともある。
私の主義は、基本的には代理店を支援して、成功させてやりたいと思ってやってきた。少々、営業成績が悪くても、切るという考えは持たなかった。
しかし、例外が三つあった。
一つはフィリピン。
ここの代理店は元々、薬品会社の販売代理店であった。
ここの社長は、最初に会った時から変だと思っていた。
社長自身が御釜っぽいところがあったからではない。
薬品会社の販売代理店は病院に薬を卸すだけでいいが、医療機器は納めた後もサービスが必要となる。このサービスに力を入れない代理店は結局は駄目。
フィリピンの代理店はこれにあたる。
でも、そうさせたのは東芝のスタッフである。
東芝のスタッフがフィリピンを代理店を使い、遊侠の場にしてしまったのだと思う。
その代理店にまともに言っても、相手は聞く耳を持たない。30歳そこそこの私を軽く見て、昔からの東芝の悪い奴らに近づこうとしたのだ。
ペナンの代理店会議の場で、私の悪口を言い始めてしまった。
他の国の代理店は、全てオープンにやろうと言う私には賛同してくれたが、フィリピンだけは歳をとっていたせいか、みんなとは逆に出てしまった。
昔からの仲間であるシンガポールのKUANさんは、フィリピンの代理店の社長に説得したがそれも駄目だった。
代理店契約破棄のためにマニラに行き、東芝のマニラ事務所の矢野さんと話をした。
この人は私より遥かに歳上の先輩だが、親しくさせてもらっていた。
この人が、
「契約破棄をしたら、相手はどう出て来るか分からないから気を付けろ。特に相手の事務所から出て来る時には気をつけろ。また、空港までの途中も危険。たった200ドルを渡せば、人を殺せる国だから。」とアドバイスしてくれた。
私は一人で、代理店契約破棄の調印を行って相手の事務所を出た。元々、スタッフはほとんど居ないので非常な不気味さは感じた。タクシーはホテルで半日借りていたから、事務所の前で待っていた。
翌日、空港へのタクシーも前もって予約していたため、同じ運転手が空港まで送ってくれた。
しかし、空港に向かう途中、パトカーが追いかけて来た。
パトカーが追いかけて来る時、矢野さんの話を思い出した。
案の定、パトカーは私の乗っているタクシーを止めた。
そして、何やらタガログ語で運転手と話をしている。
すると、運転手が速度違反で罰金を要求している、と言う。幾らかと聞くと、300ペソだと答えた。
私はポケットにあったペソを持ち出し、チップ共々渡した。
人から狙われる経験は初めてだった。

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