日田の 5 月の川開きは賑わった。
町内毎にどんたく隊を編成し、三日間、市内を踊り歩いた。三隅川の屋形船も、予約の客で賑わい、船の上では芸者をまじえ、酒宴が開かれ、鵜飼舟の篝火が、夜の川に輝いた。
間断なく上がる花火も、闇を彩り、町を挙げての祭りの饗宴に酔いしれた。
昼間は、町内毎のどんたく隊、商店のどんたく隊、青年団、学生など趣向を凝らした一団が、市の主な家の前で踊った。
私の門先でも、どの隊も踊ってくれた。その都度、ご祝儀をあげるので、川開きの前は金を包んだご祝儀袋をたくさん用意したものだった。勿論、夫も私も被衣(かつぎ)や浴衣を着て、町内に加わり、市内を廻った。
どこの家庭でも、遠来の泊り客があり、この時ばかりは、どの家も家業を休んで、酔いしれた。