これは、警備本部内の仕事。落とし物が総合受付の女性から届いたり、お店の店員が届けて来たり。また、掃除のおばさんがトイレ内の中の忘れ物を届けて来たり。
大型ショッピングモールになると、この落とし物の件数の多いこと。今までの経験からして、ウィークデイでは約100件、土日になるとその2倍にもなるという。
落とし物でも、ハンカチ、子供のおもちゃ、靴、靴下などが多い。また、お買い上げ品の忘れ物、携帯電話、クレジットカード、財布などが多い。
それらは全て、台帳に記載され、保管される。そして、現物は所定の所に保管される。
現金や現金の入った財布、あるいは、クレジットカード、貴金属などは後々で、警察に届けなければならないので、厳重に保管される。
それらのルールや台帳記載方法、物品の保管方法などを一度聞いたとしても、とても覚えられるものではない。
そこにジャンジャン、電話がかかり、「実は***を落としたんですけれど・・・」と電話がかかってくる。
もう、頭がパニックとなる。
警備の最も重要なのは、この落とし物処理ではないかと思うほど。これだけは無責任ではやっていけない。この業務はやはり一人前にやるためには一ヶ月はかかるのではないかと思われる。
落とした人が、警備からその落とし物を受け取る際に、なんとも嬉しそうな表情をする。その度に、よかったなと思う。
トッパ先生も初日のこの業務で完全に頭がパニッックになったようだ。
この日は雨の日ではなかったので傘の忘れ物がなかったようだが、雨の日はもう大変そのものらしい。
この業務で最も大事なことは、間違って当人でない人に落とし物を渡してしまう事故を起こす時だそうだ。そのためには、身元が分かる身分証明書の提示を求めるのだそうな。
我々一般人は、あまりそこまで真剣に考えたことがなかったが、真の落し主に正しいものを渡すのは随分注意のいることだと、トッパ先生は肝に命じたようだ。これが終わると、ようやく、夕方の休憩に入れた。