お寺が経営する幼稚園で、4月8日、花祭り(灌仏会・・・かんぶつえ)の行事を行った。
その時、幼児達に、
「4月8日はお釈迦様の誕生日ですよ」 、と教えた。
ところが、一人の園児が、
「先生、阿弥陀様の誕生日はいつ?」 、と質問してきた。
先生は、その質問にどう答えていいかわからなかった。
確かにこの問題はむずかしい。
阿弥陀様は衆生の救済をおこなう仏である。
全ての衆生を救いたいが、自分が善行をなしている人々は、それだけで救われる善人なので、あまり、阿弥陀仏の救済を必要としない。
善人は放っておいても 、大丈夫なのだ。
ところが、悪業をして苦しんでいる悪人を主に救ってやろうとしているのだ。
そんな意味では、悪人救済が阿弥陀仏の本質である。
すなわち、善人ばかりだと、阿弥陀仏の存在価値がないのだ。
すなわち、悪人のお蔭で、阿弥陀仏はみずからの存在価値を確立できるのだ。
言い換えれば、悪人の誕生の瞬間に、阿弥陀仏も誕生するのだ。
だとすると、阿弥陀仏の誕生日は、我々衆生の誕生日にほかならない。