横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

性急な恩返しは・・・

フランスのモラリストのラ・ロシュフーコー(1680年没)の言葉に、

「あまりにも性急に恩返しをしようとするのは、一種の忘恩行為だ」
というのがある。

我々は、特に日本人は受けた恩は直ぐに返さないといけない、と考える風潮がある。
実は”恩”をサンスクリット語で、
「クリタ・ジュニャター」 という。
意味は、「なされたことを知る」という意味である。

私達が誰かに恩を受けたら、相手が自分にしてくれたことをよくよく考え理解することが「恩」なのだ。
恩とはしみじみと感じることなのだ。

我々は、よく”恩知らず ”という言葉を使うが、これは、受けた恩をじっくりと考えないことを言うのだ。
反対に、「知恩」という言葉がある。
この言葉こそ大事なのだ。
まず、 「知恩」があって、次に「返恩」なのだ。
ところが、仏教では 返恩をあまり重要視しない。

恩を受けた親に恩を返す気持ちがあっても、別に親に恩を返す必要はない。
次の世代、あるいは別の人に、恩を送る「恩送り」こそが大事なのである。

恩というものを、英語的にギブアンドテイクで考えてはいけない。

受けた恩の大きさ、や深さも関係ない。
出来る範囲で、恩を送ればいいのだ。

ただし、恩を受けた時の気持ちは素直に相手に伝えよう。