タイ経済・・・2009年

2009年のタイ経済は-3%の成長を見込んでいる。
前半期の世界経済の低迷を受け輸出とサービスが大幅に減少した。
後半期の世界経済の回復により輸出とサービスが改善しているものの、 2009年の輸出とサービスは14.8%の減少となる。
輸入は-22.2%まで大幅に落ち込んだ。
これは国内消費の落ち込みと輸出加工用材料の輸入が減ったためである。 
特に国内外からの受注が減少しているため民間投資の遅れが生じ民間投資は-13.7%まで落ち込むと予想している。
家計の所得増加と支出削減を目的とした景気刺激策第1期により雇用の改善と 民間所得の増加により後半期の景気は回復に向かっているにもかかわらず、 前半期の民間消費の落ち込みにより2009年の民間消費は-1.0%に落ち込むと予想している。
民間支出が完全に回復していない状況の中でタイ経済成長が徐々に落ち込んでいる中で目標通りに財政出動による政府の支出が確実に行われているかが重要な課題となっている。
とくにタイ国経済力強化プラン」がこれからの持続的な経済成長のけん引役として押し進められていかなくてはならない。
2009年の公共消費は6.4%の増加を見込んでいる。一方、公共投資は5.3%の増加となった。

国内経済の安定性

2009年のインフレ率は、原油価格が2008年より大幅に落ち込んだのとバーツ高傾向のために前年に比べ-0.8%となる。
一方、原油価格と生鮮食品を含まないインフレ率は0.4%となった。
これは政府の物価抑制政策を継続したためであると考えられる。
後半期の景気回復により雇用が増加し失業率は1.8%に改善された。
2009年の国際経常収支黒字はGDPの8%まで増加する。
これはアメリカの貿易黒字額が205億ドルとなるからである。
輸入は昨年に比べ28.8%の減少となり、輸出も17.2%減少する。

2010年のタイ経済の見通し

2010年のタイ経済は、3.3%の成長を見込んでいる。
財政赤字をGDPの3.5%に抑えているのと タイ国経済力強化プラン」による公共投資で8.2%に増加すると予想している。
2010年の政府消費は、4.8%の増加を見込んでいる。
来年のタイ経済は、2009年の民間投資の落ち込みからの回復により民間消費が4.2%増加すると予想される。
また、景気回復により雇用状況や条件の改善を受け家計所得の増加も見込まれる。 2010年の民間投資は6.6%の増加となる。
タイ国経済力強化プランによる投資プロジェクト支出が民間投資を押し上げる効果となっている。
また、低金利の継続により民間投資の改善に拍車をかけている。
2010年の輸出は、貿易主要国の景気回復により5.6%まで伸びるであろう。
輸入は、国内消費や加工品輸出により12.4%と大幅な伸び率となるであろう。

景気安定

国内景気の安定を左右するインフレ率は、2010年は2.5%の上昇となるであろう。
世界経済の回復にともない世界市場での農産物価格と原油価格の上昇が予想されるからである。
失業率は1.3%を予想している。
国際経常黒字はGDPの4%まで減少するであろう。
アメリカとの経常黒字額が97億ドルまで減るとみている。
急速な輸入増加額の伸びが輸出増加額を上回っているからである。
このため2010年の輸出の伸び率は10%と予想している。
一方、輸入の伸び率は19.5%と大幅な増加となる。
急速な国内消費の伸びと海外からの加工品生産のための商品発注の増加によるためである。