トッパ先生、警備の仕事にはあまり興味を持たなかった。おそらく、大半の人がそうであるように、この仕事は創造的仕事とはほど遠い。
警察なら、まだ、権力があるから少しはやる気も出てくるであろう。少なくとも、悪い奴らを捕まえることには、少し、役に立っているのではないかと思える。
しかし、警備となると、責任はない、権力もない。
そんなところに、仕事のやる気など出ようはずもない。
その結果、いい人材など集まろうはずもない、と思いきや、それがさにあらず。
実は、60代の定年退職後の再就職のおじさん達は真面目なのである。
時間はよく守る。仕事には忠実。
しかし、そんな忠実な羊の群れには、オオカミがいたり、リカオンがいたりするもの。
別にじいさん達を取って食うわけではないが、意地悪をするのだ。
トッパ先生にも一人のオオカミが近寄ってきて、これは違う、こうやれと指図をするのだ。
トッパ先生には、この男が最もタチの悪い奴だと直ぐに分かった。
トッパ先生は、いい羊を装い、ハイハイと指図に従っていた。
このオオカミは、控え室でも、アレコレと文句を言う。
その時、このオオカミは、トッパ先生に向かって、
「テメェ、分かったか❗️」と言ってはならない言葉をトッパ先生に言ってしまった。
それでもトッパ先生は堪えた。
それから2日後、トッパ先生から巡回からオフィスに戻って来ると、そのオオカミが、トッパ先生を呼びつける。
「テメェ、これはどういうことだ。テメェのミスで皆んな迷惑するんだ・・・」とまくしたてたかと思うと、今度は、「今、俺が言ったことを紙に書け❗️」と紙と赤ペンを投げつける。
トッパ先生は、少し頭に来たが、まだ冷静に、
「あんたの言っていることが、さっぱりわからん。分かるように言ってくれ」と言うと、
「つべこべ言わず、俺言った通りに書け❗️」
「分からんことは、書けない。そもそも、あんたはイチャモンをつけてるだけじゃあないか。あんたの態度は指導とは程遠いもんだ。2日前には俺のことを、テメェと言ったなぁ。そんな言い方をしてもいいと思ってらのか❗️それから、あんたは、受付にいる時にガムを噛んでいるなぁ。あれはいいのか。あんたのような奴に指導は受けたくはない。今後、俺に近づくな」と一気にまくしたてた。
翌日、トッパ先生が出社して控え室で着替えていたら、隊長が来て、丁重に謝った。