書き下ろし小説 山の声
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 母の死
兄は終戦と同時に除隊となり、実家に帰った。母も息子や孫たちと暮らすようになり安心だったと思う。 復員した兄も、さしあたり仕事が無くて迷っていたので、材木屋でもやったらという私達の提案で、本人もその気になり、私達の広川の製…
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 朝鮮戦争
昭和二十六年に朝鮮戦争が始まった。 朝鮮の南北戦争である。 この戦争にアメリカが介入し、中国も介入した。 両国で戦い、この時から南朝鮮、北朝鮮が三十八度線で分断されたのである。 この戦争が始まって、物価は上昇し、物価凍結…
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 経済九原則
丁度この頃、福岡銀行の佐藤重役から、自分の持ち山を買って欲しいと言う申し出を受けた。木材は当時多量にもっているので、 「今のところ、山は要りません。重役さん、それに金もありません。」 と、断った。しかし、重役さんは、 「…
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 日田木材組合
私は番頭役を務めていたわけで、私が家にいれば、その間、私の代理をする人が必要だったが、間に合わせに雇ったものに、慣れぬ仕事は任せられなかった。 私は、日田市の木材組合には、時々顔を出していたので、組合からも金を借りようと…