書き下ろし小説 山の声
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 ダンスを習う
身動きとれず、二人で悶々とした日を送っていた。子供達は久しぶりに、両親が家にいるので喜んでいた。 その時、一つのことが私の頭に浮かんだ。 「今のうちにダンスを習っておこうかしら。こんなに毎日ブラブラしていたら、時間がもっ…
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 万策尽きる
この道路に普通のトラックでは、十分荷を積むことはできない。いろいろ考えた末、国鉄に全輪駆動という、輸送用の大型トラックがあることを夫は思いつき、これを借り受けることが出来れば、助かるということを考えた。 「国鉄が高価な車…
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 山奥の製材所
山奥の製材所に設備するには、大変な労力と経費を要した。建築用の木材は、かつがつ伐採し、木を利用した。他の資材は総て八女から運ばねばならなかった。一番大変なのは食料だった。 これだけの人数の食料は勿論、ほとんどの物資が統制…
2014年01月14日
書き下ろし小説 山の声
山の声 早津山
昭和二十五年の或る日、山の仲介人が、一つの大きな杉山を勧めに来た。 「こんな立派な木が、これだけまとまっている山はまたとなかですばい。是非見て下さらんか。」 仲介人あ、山の図面を見せたり、木数などを書き込んだ調査表を見せ…