室町時代の一休禅師のエピソード。
京都の商家で盛大な法要があり、その導師に一休和尚が呼ばれた。
汚らしい着物を付けて商家に入った。
家の主人は、その姿を見ただけで、
「見苦しいやつじゃ、さっさと追い出せ!」と下男に命じた。
一休和尚はさんざん棒で打たれて外に追い出された。
その後、和尚は金襴の袈裟にに身を包み、堂々と商家の門前に立つ。
主人は、
「どうぞ、どうぞ」、と奥へ案内しようとしたら、
一休は、
「いや、愚僧はここで結構です」、玄関を動こうとしなかった。
主人は、
「ここは下座の座る所です。さあ、奥へ・・・」、と促した。
一休和尚は、
「では、わしのこの衣だけを奥へ連れて行ってください。中身のわしは、ここから追い返されたのだからな・・・」 、と返した。