横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

6月のある雨の日、家内と車で出勤の途中、一人の若い女性が雨にぬれながら歩いているのを見かけた。

その女性の前後には、何人かの人が歩いているのに、誰も傘を差し掛けないのでしょう。

他人と余計な関係を持ちたくないのでしょうか?

人のことを気遣う気持ちの余裕がないのでしょうか?

その人が特に危険と感じていたのでしょうか?

しかし、人に優しくないのは事実である。

いつから日本人はこうなったのだろうか?

都会に住んでる我々も、あまり、隣近所の人と付き合いのないのは事実であるが。

しかし、寂しい限りである。

そんなことを隣に座っている家内に話しかけた。

家内も、日頃からそんなことを痛感していたのであろう。

いきなり、自分の話を始めた。

「いやな世の中ねぇ、ホント」

「だから、私はそんなの嫌だから、私は、できるだけ勇気を出して声をかけるの。傘に入りませんか?って」
「しかし、やっぱり、男性には声をかけられないわ。誤解されちゃうもの。変なおばさんって、思われちゃうでしょう。

「・・・」
「そうそう、この前、横断歩道で信号待ちしていた時、雨にぬれていた男の人がいたので、
勇気を出して、そっと、傘をその人の頭に差しかけたの。
すると、後ろを振り返り、ありがとうございます、と言ってくれたわ。
年の頃は30過ぎ。その時、信号が青になったので、そのまま歩き始めたの。
その男性と相合傘状態で歩いている自分に、ふと気がつき、横断歩道までね、と余計なことを言ってしまった。
その男性も、何か変な雰囲気になったことを感じたみたいで、無言のままだった。」

「私、その時、人って難しいものだと、人生を悟ったわ。傘を差し出すだけで、男女関係の意識が湧いてくるのを。」

「それからは雨の日の横断歩道は、あまり、男の人の後ろに立たないようにしているの。」

「女性の後ろに立てばいいじゃあないか?」と私が尋ねると、

「雨にぬれている女性に傘を差し掛けると、もう大変。思っても見ない反応があるの。余計なことをするなとか、あんたの傘が邪魔で歩きにくいとか。」

「女は大変な生き物よ。」

「・・・・」