これは加藤さんの話。
加藤さんは駅前ビルに勤めている。
接客業ため、自分の時間が自由に取れない。
ところが、50過ぎの加藤さんは血圧が高い。
加藤さんは血圧を抑える薬を同じビルの4階に取りに行っている。
今日は、お客が多くいて、自由が利かなかったので1時前になってしまった。
そのクリニックには?~4人の患者さんが待っていた。
前もって予約を入れていた加藤さんはすぐに、採血の部屋に入れられ、嫌いな注射を腕に入れられた。
看護婦が、「加藤さん、今日は来る前に、何か食べてきましたか?」
と聞かれ、加藤さんは、
「少し、ドライマンゴを食べてきました。」
と正直に答えた。
トイレのほうに行っていた医者に向かって、その看護婦は大きな声で、
「先生、加藤さんは、来る前にドライマンゴを食べて来られたと言うんですが、予定通り、採血してもいいですか?」
と叫んだ。
「何と言った?」
「加藤さんがドライマンゴを・・・」と看護婦は繰り返した。
その声を聞いて先生は、ニヤニヤ笑いながら、おもむろに、
「そのマンゴは、台湾ですか?フィリピンですか?」
と聞く。
「台湾のマンゴだと思います」
と小さく答えたという。
予定通り採血が終わり、待合室に戻ると、そこにいた患者はみんな、
「ドライマンゴを食べたのは、あんたなのか?」
といった顔で、自分を見ていたという。
事の成り行きから、ドライマンゴを食べた加藤さんは、先生のところにドライマンゴを届けたという。