またまた、有田さんの話。
ある日、今晩はみんなに新鮮な野菜サラダを食べさせようと決めてスーパーへ。
重い荷物を下げて家に着いた。
さて、と買い物袋をから野菜を取り出すと、キュウリが見当たらない。
おかしいな、買ったはずなのに。
レシートを見てもキュウリと書いてある。
そこで、無駄だと知りつつ、スーパーに電話をしてみたが、
電話の向こうからは、
「申し訳ございません。キュウリはレジのところには残っていませんでした。」
と言ってきただけ。
仕方なく、子供たちには、
「今晩のサラダは、キュウリなしでごめんなさい。ママがスーパーに忘れてきてしまったの。」
子供たちは、私を責めることはしませんでした。
それどころか、子供たちは、
「ママ、今日のサラダは美味しいよ。」
と言ってくれた。
私は、涙が出そうになった。
翌日、長女が学校から帰ると、
「ママ、キュウリがあったよ」
「学校に行く途中の道路に、3本転がっていたよ。
車に引かれて、下半身がバラバラになっていたよ。
私は、かわいそうになり、一本ずつ拾ってやって、
道の脇に寝かせてやったよ。学校には、そのまま行ったけど、
帰りには、キュウリのところにいって、手を合わせてきた。
ママも行ってきて。」
私は、キュウリに本当に悪い事をしたと思っている。
しかし、それよりも、長女の優しさに感激してしまった。