横浜こぼれ話は筆者の佐藤栄次が随筆や意見や考えを書いておりますので、一度見に来てください、

この件につき、国会では連日、安倍首相に対する責任追及をしている。しかし、いつものパターンで、不実な安倍首相は適当な答弁を繰り返すだけ。

しかし、国民の多くは、正直言って、何が問題なのかハッキリわからない。厚生省が適当なデータをでっち上げた程度の理解である。

しかし、どうも、ことはそれほど簡単ではないのだ。

安倍首相が“アベノミックス”のおかげで、好景気が維持されていると主張している背景には、厚生省が毎月報告している調査結果があったのだ。労働者の賃金も順調に増加しているという事実が安倍の発言を支持して来たのだ。しかし、その事実がまるで違うとしたら、一体、安倍が主張して来た“アベノミックス”のおかげでという言葉は吹っ飛ぶのである。

みなさん、森友・加計学園問題で財務省の官僚の安倍首相への忖度(そんたく)問題をお忘れではないでしょう。官僚が安倍首相のためを思って、文章の改ざんまでやった事件である。このために近畿財務局の職員の一人は自殺までしている。この事件は忖度という言葉で、安倍首相は逃げ切ったかのように思えるが、この問題が忖度で終わるわけがない。当然、安倍の直近の部下がそのように仕向けているのである。恫喝という手法で。

全く同じ手法が、今回の厚生省問題である。安倍首相は、またまた、同じように忖度で逃げようとしている。私は、この忖度という言葉は一部の安倍寄りの新聞・テレビなどのメディアが狡猾に作り出したものだと確信している。
よって、今回も同じく忖度という言葉がテレビで飛び交っている。
テレビに出てくる『いかにも私は文化人・専門家』顔して喋っている解説者やコメンテータで忖度問題と言い切る連中を安倍の回し者と思っている。

そんな中で、月尾 嘉男(つきお よしお、工学博士、東京大学名誉教授)先生がTBSラジオで話した興味ある話を紹介しましょう。統計というものがいかに重要なもので、今回の厚生省の虚偽の統計が国を危機に陥れるものか、また、逆に正しい統計データが国や人々を救うものかを説明したものである。

まず、間違った統計操作は国の信用をなくし、危機状態に落ちる話からしましょう。
ギリシャ共和国は2009年10月の政権交代を機に、財政赤字が公表数字よりも大幅に膨らむことを明かした途端に経済危機に陥ってしまった。
従来、ギリシャの財政赤字はGDP比で5%程度とされていたが、新政権(全ギリシャ社会主義運動)下で旧政権(新民主主義党)が行ってきた財政赤字の隠蔽が明らかになり、実際は13.6%に達していたことが分かったのだ。そのことで、EU諸国からそっぽを向かれたのだ。

次は統計によって国が反映した話。
ペティ=クラークの法則をご存知でしょうか?
それは経済社会・産業社会の発展につれて、第一次産業から第二次産業、第二次から第三次産業へと就業人口の比率および国民所得に占める比率の重点がシフトしていくという法則
この法則を見つけたのがウィリアム ペティという人。この人はもともと英国の医師だったが、物理学・数学を学び統計学に興味を抱いた人。
この人は、当時(1650年頃)、ヨーロッパでもっとも栄えていたフランス、英国およびオランダを統計の手法で調べたのだ。フランスは農業国で人口がこの参加国の中では一番多い。英国の人口は二番目で工業国。オランダはもっとも人口が少なく、貿易で収入を得ていた。しかし、三ヶ国中、一人当たりの収入はオランダがダントツ。フランスは大国でありながら、もっとも一人当たりの収入は低かった。
当時のオランダは有名な東インド会社で大儲けをしたのだ。
そのことに気づいたペティは、これからの英国は貿易に力を入れるべきだと主張した。そこから、イギリスは“重商主義”を採用し、大英帝国として繁栄していくことになる。

次は人々の命を救ったナイチンゲールの話をしましょう。
ナイチンゲールはクリミア戦争で看護婦として活躍したことだけはほとんどの人は知っているが、それ以上のことを知っている人は少ない。
ナイチンゲールはクリミア戦争で戦死した人々と野戦病院に運び込まれる傷病兵の数を克明に記録し、野戦病院で亡くなった兵士の数も当然記録していった。そして、ある重大なことに気が付いたのだ。野戦病院に担ぎ込まれた兵士のうち40%が死亡していたことに。それは野戦病院の不衛生が原因であることに着目し、野戦病院の衛生に徹底的にメスを入れた。そのことで、傷病兵の死亡率が5%程度に下がっていった。その調査が将来の統計学の基礎になるのだ。だから、ナイチンゲールのウキペディアでは彼女は英国の看護師、社会起業家、統計学者、看護教育学者と記載されている。

イギリスでは、ナイチンゲールを統計学の先駆者としている。

安倍首相よ、あなたは日本の将来を危うくしないように、今回の厚生省の問題に真摯に向かい合うべきと考える。